平野文

2010年の初日の出を京浜東北線の車内から見て、元旦からパチスロ、ボロボロになって、深夜、辿りついたのはネットカフェ。
薄暗いフルフラット席で、自身の靴下から放たれる強烈な異臭に耐えながら、190円のフライドポテトを食べ、君に届けを読む。
この爽やかな少女漫画の感想文をブログの下書きに黙々と書く。隣のブースからは歯軋りと、言葉にならない呻き声が絶えず聞こえてくる。
一年の計は元旦にあり、っていうのなら、今年も糞みたいな一年だろう。
翌日はパチスロすら打たず、ただただボーっとした。非常に良い天気だったので、正月気分で浮かれる街を散歩して、疲れたら喫茶店でコーヒーを飲んだ。
春田の知り合いがバックバンドをやるという事で、平野綾のライブを見に行った。
ちょうど帰り道だし、関係者で入れるらしいし、タダなら別に、ねぇ、というこれ以上ないほどゲスな理由で。
関係者用のシールみたいなのをズボンに貼れてテンションが上がったので、それなりに楽しんだ。曲は一曲も知らなかったけど。
終演後、その春田の知り合いに挨拶に行った。タダで入れてもらったのでお礼くらい言うべきだと思ったからだ。
俺は極度の人見知りだが、知り合いの知り合いなら冗談のひとつでも言えると思っていた。
おいお前やるじゃ〜んみたいな事が言えると、その時は思っていた。
スタッフに丁重な扱いで関係者通路みたいな所に通されて、まずそこで怯んだ。
俺みたいな元旦からスロット打って負けてるような、前日ネカフェ泊で、2日間同じTシャツ着てるような男を丁重に扱わないで!と思った。
その後に出てきた春田の知り合いを見たら、もう何も言えなくなってしまった。
輝きが強すぎて目が焼かれた。目が!目がぁ〜!と叫び出してしまいそうだった。
頑張ってる人から出ている明るいオーラに圧倒されてしまったんだろうと思う。
毎日毎日薄暗い所に落ちている残飯を拾って生きている俺が、久々に見たその明る過ぎるオーラに。
結局俺は「はじめまして」と「恐縮です」以外の言葉を発せずに逃げるように関係者通路から出た。
混乱して、何故か梨本勝のモノマネをしてしまったのだ。いや、実際恐縮してはいたんだろうけど。
俺と春田はショックを受けてしまったので、そのまま水道橋から秋葉原まで歩く事にした。そうしないと落ち着かなかった。
あの明るいオーラに照らされて、自分のクズっぷりがはっきりとわかってしまった。
もちろん、自分がクズなのは、二人とも百も承知だったのだが、日々の薄暗さのせいで、正確にクズさが捉えられなくなっていたのだ。
秋葉原でメシを食って一服。一人になったら泣いてしまうかもしれない、と言う春田と秋葉原で別れ、電車に乗り込む。
初詣の帰りのファミリーが向かいの席に座った。すごく幸せそうな笑顔で話すファミリーを無表情で見ながら、
俺はイヤホンを耳に突っ込み、中島みゆきのフォルダをランダム再生にした。
ファイト!という曲が流れた。俺は駅で買った東スポ新春特大号のエロ面を開いて、隅々まで読んだ。




というわけで、あけましておめでとうございます。世間ではもう七草粥なんか喰っちゃったりしてるらしいですけどね、
こちとら年中正月気分、まだまだふわふわ時間(FT)継続中です。
今回の年末年始はいつも以上に最悪でしたが、なかなか楽しかったです。
本当は卒論を少しは進める気だったのですが、一切進みませんでした。これから全力でごまかしにかかりたいと思います。


年末に、けいおん!のライブに行った後、最近会ってなかった人と飲んで、テンション上がったので、
知り合いの佐藤という男の行きつけのメイドバーへ行ったんですけどね。
この佐藤という男がね、なかなか悪いヤツで、メイドバーに通うだけでは飽き足らず、自分がメイドとどれほど仲がいいのか、
っていうのをね、俺と、知り合いの平松という男とに見せ付けて来るわけなんです。
もうイチャイチャイチャイチャするわけですよ。ほとんど一見の俺ほったらかしで。
ほったらかしどころか俺なんて店に入って2秒でメイドに「ちょっと無理です」って振られてるのに。
まあ楽しかったんですけどね。そうは言いながらも楽しかったんですけど。
悔しい!でも感じちゃうビクンビクン!みたいな感じで。M心が刺激されて非常に良かったですけど。
すげえ楽しそうでしたよメイドバーの常連ってのは。やっぱメイドバーは常連になってナンボですなあ、と思いました。


そんで、その佐藤という鬼畜にも劣る男にですね、最近オススメのアニメを聞いたところ「君に届け」というのが面白い、
という答えが返ってきましてね。悲しいかな、あの鬼畜男と俺は結構アニメの趣味が合うのです。
アニメを見るのはめんどくさかったので漫画で読んじゃったんですけど、君に届けってのは面白いですね。
なんか今更な感じみたいなんですけど。結構昔から面白い漫画として有名なのは知ってたんですけどね。
イマイチ少女漫画ってのを読もうという気にならなくて今まで読んでなかったんですが。
なんかめんどくせえ話が多いイメージじゃないですが少女漫画って。
好きなったり付き合ったり別れたりとか、女同士のイジメとか別にあんまり興味ねえしなあ、っていう感じで。


もちろん君に届けも好きになったり付き合ったり別れたりイジメられたりするんですけど、意外とすんなり読める。
所謂少女漫画が苦手な人でもわりとすんなりイケルんじゃないでしょうか。
話は大体エンジェル伝説みたいな感じです。北野誠一郎が好きなら黒沼爽子も絶対好きです。
話自体は王道の少女漫画なんですが、すんなり読める理由は、主人公の黒沼爽子ちゃんが少年漫画の主人公の王道だからじゃないかと思うんですけど。
正直でまっすぐで不器用なヤツなんですよ黒沼爽子ちゃんは。系譜的には完全に孫悟空、モンキー・D・ルフィ、黒沼爽子です。
坂間大介的に言うなら悟空、ルフィの系譜にまた一人参戦、つまりマイメンDJ黒沼爽子。
すごくかわいいですしね、爽子ちゃん。山下たろ〜みたいなかわいさ。幕ノ内一歩的な所もある。
話の展開としても、結局最終的には友情パワーでなんとかしちゃうキン肉マンな感じだし。
主人公も含めて、主要登場人物にあんまりドロドロしたヤツがいないのが多分いいんでしょうね。胡桃沢さんも結局すぐに本性出しちゃう。
男の登場人物に関しましては、イラっとくるほど爽やかボーイの風早翔太君が爽子ちゃんの相手役なんですが、
まあこれも全然許せますよ。俺が10代の頃だったらショータ君にイライラして読めていないかもしれませんが、
俺ももう25ですからね。少女漫画に出てくる男にムカツクような事はないですよ。
結局少女漫画に出てくる男っていうのは愛玩犬ですからね。チワワやトイ・プードルみたいなモンです。
女が好むように無理やり品種改良されているので、「こんな男気持ち悪いよ!」といったような感情を、
俺のようなモテない男が抱くのは当たり前なのです。風早君はまだマシな方だと思いますし。
あれくらいのヤツなら、もしかしたら実在するかもしれない。高校の頃の同級生の板野君があんな感じでした。
漫画よろしく俺のようなヤツにも気さくに喋りかけてくれましたね。見た目も爽やかイケメンでサッカー部でした。
俺が女だったら惚れております確実に。ただ、残念ながら俺は男だったので「コイツめっちゃモテるんだろうなあ、クソッ」
と思っただけでしたが。
アニメの方も結構出来が良いらしいので、皆さんお暇でしたら見てみたらいかがでしょうか。


平野綾のライブは、客が暴れる、というような話を狼で見たので楽しみにしていたのですが、そうでもなかったです。
1月2日だし、ただ暴れたいだけのヤツはどっか別の所に行ってたんでしょう、多分。
俺は最後方の立ち見で見ていたのですが、俺の前に10-FEETのパーカーを着たヤツが居たので、
「あっ、コイツヤル気かな?」と思ったのですが、非常に大人しく見ていました。少し残念でした。
俺はやっぱり平野綾より平野文水樹奈々より水野奈々だなあ、と思いました。


今月末には、S-1と全日がタッグを組んだ興行があったり、グリーン・デイのライブがあったりで忙しいので、
なんとか卒論を1月20日くらいまでには書き上げたいと思っています。
実質ゼロから2週間で卒論を書き上げるという事になりますが、最大限ごまかしてなんとかしたいと思います。
なんともならなかった場合は大学中退というかっこいい肩書きを背負って今後生きて行く事になるので、
そうならないようになんとか頑張りたいと思います。