全国同時握手会2016秋 前編~突撃!決死の白昼夢編~

年に2回、五穀豊穣を願って主に独身の男性がパーカーを着た美少女を追って全国を練り歩く神事、モーニング娘。全国同時握手会ワンシックスが今年の秋もしめやかに執り行われました。もちろん、父方も母方も代々農家、五穀豊穣祈願しまくり工藤ヲタである俺も参加してきました。半年ぶりの全国同時握手会、握手弱者の俺はあの頃より少しは成長出来たのでしょうか、ご期待下さい(出来ませんでした)

ハルちゃん冒険団(決死隊)結成

工藤遥さんがスヤスヤ寝ていたであろう全国同時握手会前日の深夜、ハルちゃん冒険団(工藤遥さん命名、全国同時握手会に来るオタクの総称)の団員となった俺は、神奈川県某所、謎の駅前のスーパーで半額になった刺身を買って一杯やっていました。車を待っていたのです。前日に降った雪はおそらくは大丈夫だろう、という感じにはなっていましたが、路面の凍結なんかはあるかもしれない。ノーマルタイヤだ。最悪の場合死ぬかもしれない。しかし!それでこそ冒険団。冒険に多少の犠牲は付き物です。「ハルちゃんの為なら犠牲になったって構わない。というよりも犠牲にさせてくれ。本望だ」俺はコートのエリを立て、半額刺身をビールでグイっと押し込んで決死の覚悟を固めました。「俺がハルちゃん冒険団二番隊隊長、丑忍の中島だ」そういった気持ちで、カップルの乗った車に乗り込み、彼氏さんの運転で新潟までの道のりをのほほんとほろ酔い気分で駆け抜けました。

道中で食べたニチレイ自販機のハンバーガーが熱すぎた事と、宿泊する事になっていたホテルがセミダブルに二人で、今夜おっさん二人でセミダブルベッドに寝なければならない事が判明した事以外には、特に何の問題も無く、車は朝方にはひとまずの目的地である新潟市内の健康ランドに到着しておりました。夏に東京山口15時間車移動をこなした俺にはもはや神奈川新潟の5時間移動は特に苦ではなくなっておりました。車内では一睡もせず、元気に「工藤遥がもし仮に男だったらどうか」という議題に対して「まあ、ないならない方がいいけど、もし付いててもそれはそれでファッキン最高だよね」みたいな返しをし続けておりました。元気の極み。

 愛想の悪い新潟の健康ランドの受付に金を渡して風呂に入りました。確か千円を切る料金だったと思うのですが、しっかりと露天風呂まで付いた大浴場があり、露天風呂に入浴してまだ暗い初冬の朝5時の空を見上げながら「・・・ッッカァー!最高!!」とつぶやきました。セミダブルのベッドで一緒に寝なければならない方は「大浴場には入れない」という理由で風呂に入っておりませんでした。心の闇を見ました。そしてこれがその夜、セミダブルベッドの部屋で大問題を起こす事になるとは、この時の俺はまだ気が付いていなかったのです。休憩室でウトウトとして、その後朝風呂をいただいて、気分はもうビールだったのですが、最近「もしかして酒を飲んでいるから握手がダメなのでは?」という理論を検証するために握手会の前にはお酒を飲まないようにしているので我慢して、記念すべき全国同時握手会第一会場に向かいました。

光速握手でスピードの向こう側へ、再び

第一会場は、変な会場でした。イベントが行われたショッピングモールには、おあつらえ向きのイベントスペースがあったのですが、当日そこでは何か別のイベントが開催されており、工藤遥さんは映画館の中でトークと握手会を行っておられました。朝風呂を浴びていてギリギリの到着だったのでイベント優先券がもらえず、俺達はトークが見れなくなってしまいました。メシを食ったり、オープンスペースのイベント会場でイベントしてるアイドルやブリカツくんを見て時間を潰し、握手が始まったようだったので映画館に入りました。握手券でシネコンの中に入れてしまったのですが、アレ、映画観ようと思えば観れたと思います。いや、わざわざ握手券購入して映画見るやつはいないでしょうから、別にいいんですけど、この世界の片隅に、観たかったです。

工藤遥さんは100人定員くらいのちいさなスクリーンの前に机を置いて立っており、そこで握手会を行っておりました。あまり見たことの無い風景に「なんなんだこれは…」という気分になりました。今後あるのかどうかわかりませんが、映画館での握手会の注意点をお伝えしますと「周りが静かだし声が響くので大きな声を出すと並んでいる人全員に聞こえる」という事ですね。普段のハロプロの握手会って大体周りがザワザワしててあんまり他の人の声って聞こえないのですが、そんな大きな声じゃなくても新潟の握手会では会話の内容が聞こえました。俺は誰に聞かれても大丈夫な握手しかしていないので全然問題ないのですが。だってこの日の最初の握手「おはようございます!」しか言ってないですからね。・・・・・一緒!!!前の全国同時握手会と一緒!!最初もうなんだかわからなくなってすぐ逃げるヤツ!なんなん俺!

一通り「なんなん俺!」を噛み締めた後、もう2枚くらい握手したような気がします。前のカップルが大きな声で工藤さん込みでイチャイチャした握手をしておられたので、ドタマに来てしまい「ちょっと待って下さいよ!あいつらのクソみてえな話一杯あるんすよ!!」と言ってしまいましたが、直後にふと我に返り「あいつらのクソみてえな話、ここでしたら握手会出禁になるかもな、セクシャルな意味で・・・」と思い「聞きたい聞きたい!」と申しておられる工藤さんに真顔で会釈して会場を出ました。工藤さんサイドから見たら完全に頭のおかしいヤツだったと思います。いや、世の中のどのサイドから見ても完全に頭のおかしいヤツなんですけど。

群馬県の焼け野原でこの世の無情を呪う

その後は粛々と群馬に移動しました。1時間半くらいの車移動だともう「移動」という感じすらなく、ちょっと散歩する感じで到着しました。群馬の握手会が行われたイオンモールは本当に周りに何もなくて、畑や田んぼすらなく、ただただ荒野が広がっており「ウソだろ、いくらなんでもなにも無さ過ぎるだろ…焼け野原かよ」と思いました。まるで俺の心象風景のようでした。今度は普通の会場が、用意されているように見えたのですが、実はそうでもなく、ショッピングモール3階の通路のような所に人が群がっていました。普通、こういうのって1階でやって2階3階からも見えるようにすると思うんですけど、まさかの3階。おかげで人が通路にぎっしりになっていました。群馬で何を話したのかは残念ながら失念してしまいました。失念するほど中身の無い握手だったんだと思います。確か、俺の前で握手してた知り合いの握手に巻き込まれたような気はするんですけど、俺の握手会でのアドリブ対応力、ほぼゼロなのでフワーっとして終わったんだと思います。自分の握手は覚えていないのですが、一つだけ群馬の握手会の出来事を覚えています。工藤さんにZDA中同行していたスタッフさんがCD販売所の前で工藤さんの写真を撮っていたのですが、その時のスタッフさんの顔を覚えているのです。強烈に焼き付いて離れないのです。あれは絶対エロいこと考えてる顔だった。俺には分かる。工藤遥でエロいことを2億回は考えている俺には分かる。アレはアノ顔です。畜生!なんて良い仕事に就いているんだ!徳を積んで来世は絶対に工藤遥のマネージャーになるからな!クソが!前前前世から君でエロいこと考えてやるからな!という気持ちで、群馬イオンモールのサーティワンアイスクリームでクレープをやけ食いしました。クレープを食い慣れていないので鼻にクリームが付いてしまい、うっかり最高に可愛いおじさんになってしまいました。

俺の声よ、宇宙に刻まれろ

その後は栃木県は宇都宮に移動しました。着いた頃にはもうとっぷりと日が暮れておりました。デパートの屋上の謎のスペースに工藤遥さんがおり、そこでトーク会を行うようでした。そうそう、こういうのが良いんだよ、と思いました。満天の星空と秋祭りのカラオケ大会のようなステージ、無駄に広いスペースと、そこに無造作に集められて寒空のもとで震える俺達。最高じゃないですか。まあ、この日はあいにくの曇天だったので星はほとんど見えなかったのですが。

トークイベント中に野外が余りに気持ち良く、辺りを散策していたら工藤さんがイベントをやっている所からさらに上、階段を上った先に、まだスペースがあるのを見つけました。当然、他のファンの方々は工藤さんを見守っておられたのでそこには気が付いていないようでした。誰もいないガランとした広大な屋上のスペースがそこには広がっており、宇都宮の夜景が一望出来ました。工藤遥さんのトークは遠くで聞こえました。前日夜から移動していた疲れも相まってだんだん夢を見ているような気分になってきました。全国同時握手会に行くといつも後半白昼夢を見ている気分になります。

 愚直に自分の作ったルールに従い、酒は飲んでいなかったのですが、頭がボーっとしてきて酔っているような気分になりました。握手で何を話したのかはあんまり覚えていないのですが、確か「自分の周りにはカップルが出来まくるのに俺にだけは何も起こりません」みたいな事を言ったような気がします。「頑張れー」と言われました。その様子を見ていたお強い工藤ヲタに「あんなにおざなりに工藤ちゃんに扱われてるヤツ初めて見ました」と言われましたが、俺は頭がボーっとしていたので「えへへ」と思っただけでした。今思い返すと少しだけ死にたみがあります。少しだけですけど。

そのお強いオタクが握手をループしているのを見守りながら、俺は酒を飲みました。何故ならもう握手券を持っていなかったからです。握手会場のビルに入っていたダイソーで買ったワインを飲みながら俺はループしている知り合いに「おーー!!イケイケーー!まだイケルぞーー!まくれーーー!!」などと応援しました。だんだん気持ちよくなってきて最終的には「遥ちゃん大好きーーー!」と叫んでいました。もちろん、それに対する工藤さんからの返しはありません。聞こえていなかったんだと思います。それでも、俺はなんとなくスーっと気持ちが穏やかになっていくのを感じていました。宇都宮のデパートの屋上から空へ向けて放った俺の咆哮は、曇天の雲を突き抜けて宇宙に届いた、そんな気がしました。工藤遥さんに伝わらなくてもいいんだ、俺が生きた証は、デパートの屋上から宇宙に届き、そしてどこかに記録されている、そんな気がしました。それでいいんだと思いました。<つづけ>