Morning Musume。'16 Live Concert in Taipei~ガチ恋ゾンビ国境を越える~

工藤遥さんに恋をしてから3年、「工藤遥とは結婚どころか一緒に酒を飲みに行くことすら許されない人生なのだ」という事を噛み締めて生きているウチにいつの間にか心が死んでいました。心は死んでいるのですが、身体は動き、別段他にすることも無い為になんとなくアイドルの現場に通っています。酒漬けの脳をタプンタプン揺らしながら。この状態を俺は「ガチ恋ゾンビ」と呼んでいます。アイドルに恋をするという禁忌を犯した者の成れの果てです。禁忌を犯した者が落とされる地獄のうちの一つに、俺は落とされたのです。その身体からはハラワタが飛び出し異臭を放っており、脳は虫にヤラれてまともな思考力は無く「アー、アー」とうめき声を上げながらアイドル現場を這いずり回る、現場の鼻つまみ者、それが俺です。

 

「ゾンビは海を渡れない」という基本設定を無視して、ガチ恋ゾンビに成り果てた俺がモーニング娘。'16の台湾公演に行って参りました。まともなレポは脳に氏賀Yているので書けないのですが、それでもなんとかレポのようなものを残しておきたい、という気持ちがあるので書きたいと思います。温かい目で見て下さい。暇つぶしにどうぞ。

1日目

先に言っておきますが、俺が台湾を2泊5日で旅して工藤遥さんを見たのは空港でのお出迎えイベント時に1分、コンサート公演での2時間、それだけです。その他の117時間59分は酒を飲んだり、人の恋愛話を聞いたり、同行したカップルに気を使ったり、美味しいモノ食べたり、酒を飲んだり、酒を飲んだりしておりました。羽田空港を4時55分に出発するという頭のおかしい飛行機に乗るために出発前日の北千住で人の車に乗り込む時からビールを飲み始め、全ての日程を終えた後「俺達の台湾延長戦」と称して平日の昼間から北千住でランチのカレーを食いながら酒を飲むまで、俺は常にアルコールで脳をマヒさせていました。

 

脳がマヒしていたのでよく覚えていないのですが、「なんだか修学旅行みたいだな」と台湾にいる間中ずっと思っていたような覚えがあります。仲のいいグループで班行動して、全体のイベントもあって、それに合わせて時間区切られて。日本から来てたオタクも結構居て、その人達は大体「話した事はないけど見たことはある」って人達で隣の隣のクラスの同級生みたいな距離感で。班の中にカップルも出来るし、女の子とどっかに抜けちゃうヤツもいるし、部屋でただただバカ騒ぎしてる俺もいるし。高校の時の修学旅行と大体同じでした。高校の修学旅行、ホテルでモテない男子6人でずっと酒を飲みながら麻雀をしていた事を思い出しました。あまり思い出したくなかったのですが。引率の先生が居ないから夜通し騒いでても怒られないのと、32歳だから堂々と酒を飲んでタバコ吸っても良いのが少し違うくらいで。憧れの人とは口すら利けない事もあの頃と同じ。俺が好きだった子とはグループが違って、俺はいつもあの子とは話せすらしないのです。

 

おっと!俺の暗い青春時代と昨今のオタク現場の浮かれた雰囲気の話は今日はこの辺にしておきましょう!それはまた別の機会に書きたいと思います。ファッキン自由恋愛。

 

俺が台湾で工藤遥をはじめて見たのは、台北松山空港でした。ホテルにチェックインして荷物を置き、一旦落ち着いて「ああ、眠いな。もう疲れたよパトラッシュ・・・」という気分をなんとか奮い立たせてタクシーで向かった空港で。日本で到着空港で待ち構えてるとストーカーチックですが、海外だとなんとなく許されるような雰囲気になります。メンバーが空港に到着する時間とか予告されてるし、横断幕を持った地元のファンとかいるし、イベントチック。到着時間ギリギリくらいに行ったのですが、なかなかメンバーが出て来ず、暇すぎてビールを飲んだりメシを食ったりぼーっとしたり警備スタッフと仲良くなったりしました。

 

 これが気の良い台湾人の若者でしてね。警備の予行演習みたいなので「スタッフ同士が手を繋いで一列になって芸能人を守る訓練」をしていたのですが、それに勝手に参加して俺が手を繋いだらすっごい笑顔で握り返してくれて。こんなもん日本でやったら怪訝な顔されて撥ね付けられて終わりですよ。朗らかですよ、台湾の人、朗らか。俺もなんか「うふふ・・・よし、この人達を助けるために俺の労働力を無償で提供するぞ」みたいな気持ちになりました(酒も飲んでいたし)が、現場監督に怒られてメガネ君達はクっと口を真一文字に結んで俺の手を離してしまいました(当たり前ですが)

そうこうしているうちにモーニング娘。の方々がやって来て、なにやら挨拶のようなものをしておりました。遠くてよく見えなかったのですが、その後、俺達の居る方へ歩いて来ました。「うわっ!こっち来る!警備スタッフ全然アレだけど大丈夫なのか!おい!メガネ!お前それ!大丈夫なのか!?」とどちらかと言うとメガネ君の心配をしてしまいました。結局全然大丈夫ではなく、なんかグチャってなってました。軽いモッシュ気味だったので、モッシュ好きの血が騒いでしまい、いつもよりテンションが上がってしまいました。普段全然工藤さんを呼んだり出来ないのですが、隣に居た現地のファンの人が一生懸命片言の発音で工藤遥の名前を呼んでいるのに触発されて俺も名前を呼びました。もみくちゃにされながら。俺はここでもノールックノーレスだったなぁ、別に良いんだけど、と思っていたのですが俺の前でもみくちゃにされていた知り合いの方から「いや!工藤ちゃんは見てたよ!なんなら来てるんだ!?みたいな顔してたでしょ!」と言われました。優しい方なので俺を気遣ってくれたんだとは思いますが、信じてみようと思っています。ハルちゃん、俺はね、台湾に来てたよ。

 

俺の絶望的なレス確認力の無さを痛感しながらホテルに戻り、台湾のテレビ番組観覧に行くつもりだったのですが、前日から寝ていない疲れと酔いと雨と台湾のジメジメにやられ、結局こうなってしまいました

 この後は確か夜市に行ったんだと思います。知り合いが引っ掛けて来た台湾人の女の子が面白かった。見た目じゃなくて発言に多少のビビアン・スー感があって楽しかったです。ズレた間の悪さもそれも君のTiming感があった。「ビビアン・スーみたいな女の子と飲む」という俺の台湾での目標のひとつが達成出来ました。日本に来る予定もあるようなので、またどこかで会えたら良いな、と思います。今度は俺が日本の飲み屋で美味しいもの紹介してあげたい。

 2日目

結局3時過ぎまで飲んで就寝しました。同室になった知り合いのイビキがエグかったのであまり寝られず、朝起きてしまってビールを飲んだ覚えがあります。その後もビールを飲んでいた覚えしかありませんが。この日が確かコンサートの日だったんだと思います。もうそこすらちょっと曖昧だけれども。朝起きて、確かコンサートは夕方からだったと思うのですが、その間何をやっていたのかあまり思い出せません。おそらく酒を飲んでいたんだと思います。別に台湾だから、とかではなく俺は工藤遥を見る前は脳がビリビリして昔の人間だった頃の記憶がフラッシュバックし、悲しい気持ちになるのでアルコールで脳を麻痺させているのです、いつも。

ともかく、台湾で酒を飲んでフラフラしているウチに、コンサートの時間になったのです。マクドナルド海外サイズの超デカイコーラを持ち込んで、台湾公演記念Tシャツ(クソダサイ)を着て、会場に入りました。まず、会場に入って驚きました。日本にはあんまりないタイプの会場でしたね。スタンディングだけどホールみたいな綺麗さ。日本のコンサート会場って「カッチリ席のある綺麗なコンサートホール」か「タバコのニオイの染み付いたライブハウス」のどちらかな印象なのですが、あの会場は「キレイなコンサートホールの席だけ取り外した」っていう感じで凄く良かったです。音も良かったし。ステージも見やすかったし、なにより謎のスペースがあった。謎のスペース大好きおじさんとしては超高評価ポイントです。

そもそも俺がモーニング娘。にハマったのは、2000年代ラブマバブルでイケイケだったハロープロジェクトが、地方の謎の空き地でバンバン野外コンサートをしていた頃で、あの頃の体験が頭から離れないのです。謎の場所、謎の協賛、謎の開演前市長挨拶、ブロック指定で出来る謎のスペース、見たこともない謎のグループ(後にそれはメロン記念日という名前だったと判明する)、謎だらけのイベントに当時特にハロプロ好きなワケでもない地方の高校生だった俺はドハマリしてしまったのです。

あの頃の野外イベントの楽しさについては、また別の機会に詳しく書くとして、ともかく、俺は自由に動けるスペースが好きなのです。コンサートホールの一席は、どう考えても狭すぎる。隣に気難しい人とか来るとちょっとはしゃぐとすぐサイリウムで殴られる。しかし、その点台湾のあのホールは完全にフリーダムで、俺は少し、高校生の頃の気持ちを取り戻しました。

近くに現地のファンの方も居て、それも俺の高校生返りに一役買ってくれました。とにかくピュア、ピュアが凄い。たまたま近くに居たのが工藤ヲタの女の子(10代後半から20代前半くらい)だったのですが、工藤遥の一挙手一投足に常に目を輝かせており、たまにガっと来る事があると後ろにのけぞる。のけぞってしまっている。物理的なチカラを工藤遥のオーラから受けている(そんな馬鹿な!)のけぞりながらなにやら独り言を言う。俺はその様子が羨ましくて、愛おしくて、ちょっとキモくて、なんだかよく分からない感情を抱きました。

地方の高校生だった頃、年に2回か3回くらいしかコンサートに行けなかった頃は、俺もあんな感じだったかもしれない。いや、流石にあそこまででは当時からなかったけれども、でも、少なくとも今とは全然違う気持ちでモーニング娘。を見ていたな、と思い出しました。俺はいつの間にか汚れちまっていたのです。願わくばあの頃みたいに戻りたいなァ、と思いながら、俺は持ち込んだラージサイズのコーラにウィスキーを注いだものをストローでチューチュー吸い、「なんかテンション上がってきたーーー!」と言いながらみかんで近所の人とモッシュのようなモノをしたり、ビーアライブでうざい動きをしたり、プレゼント抽選会で「長いな・・・これ、長くない・・・?」と隣に居た知り合いと話したりしました。汚れちまっている。人間は、そう簡単にはあの頃のように戻れないのです。

とはいえ、台湾公演は全体的に非常にピースフルで良い公演だったと思います。ここ最近で見た中では俺は個人的に1番良い公演だと思いました。俺は酒飲んで走り回れたらなんでもいい、みたいな部分があるので正確な判断基準は持ち合わせておりませんが、他のオタクの方々にも評判が良いし、モーニング娘。のメンバーの方たちも心なしか楽しそうに見えました。現地の方が企画したアンコール企画にもメンバーの方は感動して泣いておりました。良席でその様子を見た俺の知り合いの心が汚れきった男は「工藤ちゃんはあの光景を見て、下唇を噛んで涙を堪えていた。俺は思いましたよ、何アーティストぶってんだコイツって」と言っておりました。最低のクズ野郎だな、コイツ最高!と思い、ゲラゲラ笑いました。

その後

 「モーニング娘。最高!!!!」という気分に思いの外なってしまったので、俺達は酒を飲みに繰り出しました。適当に歩いて英語すら通じない現地の飲み屋に入り、鳥の丸焼きを解体して食いながらビールを飲みました。先程の「何アーティストぶってんだコイツ」発言をしたクズ野郎と一緒だったのですが、彼は酒を飲みすぎて店を出る時「中島さん、ヤバイ。。。ウンコ漏らしたかもしれません」と言っていました。最低のクズ野郎な上にウンコ野郎かよ!!コイツ最高!!と思い、ゲラゲラ笑いました(結局水っぽい屁が出ただけで漏らしていませんでした、なんなんだそれは、むしろ漏らせよ)

ホテルに帰っても飲み続け、結局午前4時前くらいまで飲みました。翌日は、何かイベントがあるかもしれない、という事で深夜の飛行機をおさえていたのですが、結局何のイベントも無かったので1日フリーになり、朝からビール飲んでメシ食って観光して帰りました。工藤遥の居ない台湾で工藤遥の事を思いながら酒飲んでメシ食って台湾の街彷徨ってお土産買うのもなかなか趣深くて良かったですね。

飛行機に乗り遅れそうになって深夜の台湾桃園国際空港をダッシュしたりして、日本に帰国したのが午前4時。最初から最後までバカみたいな日程でした、とまとめて終わりたい所ですが、朝の羽田空港でビール飲んでたら楽しくなっちゃって「俺達の台湾はまだ終わっていない!」とか言いながら北千住に向かいました。平日の朝に呼んで北千住という名の台湾まで来てくれる飲み友達が一人だけいたので、そいつと飲みました。日高屋、幸楽(朝10時から開店している飲み屋)、インドラ(本格インドカレー屋なのにサワーが妙に安い)といつものコースを飲み歩き、気がつくと深夜36時になっておりました。流石に眠い、という飲み友達と別れ、俺もフラフラと北千住駅まで歩きました。台湾は俺達の滞在中ずっとジメジメしていましたが、その日の北千住は爽やかな秋晴れで日差しが心地よかった覚えがあります。ああ、良い天気だ。さあ、もう一杯飲んで家に帰ろう、と思いました。

 

俺の記憶は、そこで途絶えています。台湾の話はこれでお終いです。

総額で言うとそこそこお金もかかったし、所謂「美味しいイベント」だったのか、と言われたら、俺にはよく分かりませんが多分違ったんだと思います。けれど、俺は行って良かったなあ、と思っております。なんか、ほっこりしたから。

今後も変なイベントがあったら出来るだけ行きたいなあ、その代わり、変じゃないイベントは別にそんな必死に行かなくても良いかなあ、という思いが湧いてきております。

 

俺の工藤遥への思いも、何か変わってきているような気がします。具体的に何に変わってきているのか、自分でも良く分からないのですが、しかし、何かが変わってきている実感があります。燃えるような恋から、失恋の絶望、いや失恋すらできなかったのだという更なる絶望、そこから派生する一生好きな人の人生と自分の人生とは交わらないのだという絶望、絶望の先にある諦め、諦めが身体中を巡ってのゾンビ化を経て、俺はこれからどこへ行くのでしょうか。落とし穴にハマって身動きが取れなくなっても工藤遥はガチ恋ゾンビの脳天を撃ち抜いてはくれません。せめてそのまま埋めて欲しい。土に還りたい。土に還って芽を出して、来世は物言わぬ大木になりたい。大木になって何度目かの夏の日、美しいお婆ちゃんになった工藤遥が俺の足元の木陰で一休みするのだ。おばあちゃんになった君に、俺の足元でセミの抜け殻を集めて欲しい。