全国同時握手会2017秋 ~ラストラン編~

モーニング娘。の全国同時握手会という催し物に半年に一度行き始めてからもう随分経ちます。その名の通りモーニング娘。のメンバーが全国各地で同時に握手会を行う催し物です。柏や流山おおたかの森という近場から、秋田新潟、滋賀や神戸、果ては沖縄まで、開催されればどこへでも行きました。ろくな思い出はなく、今思い出すのは沖縄で買った20枚のCDをプレゼントしたキャバクラのお姉さんは元気かなあ、とかそれくらいです。お姉さん、元気でやってらっしゃいますか?俺は元気にしております。毎回毎回行くわりには行った先の握手会で話すことと言えば「あ、どうも、おはようございます。ここ遠いですね」くらいで全く内容がありません。それで良い、と思った事は一度も無かったのですが、どうしても工藤遥さんの前で普通に話す事が出来ないまま4年ほど経ってしまいました。俺がボーっとしている間に工藤さんは卒業を決め、10/8に行われた今回が工藤さんにとって最後の全国同時握手会になりました。今回こそはちゃんと、せめて普通に感謝を伝えたい、悲壮な決意を固めて握手会開催前夜の新宿に向かうと、そこには見慣れたシルバーのバンが待っていました。

 

今回工藤遥さんは広島神戸大阪を巡るルートでした。それなのに何故か前夜の新宿でシルバーのバンに乗り込みました。どこからどう見てもタコ部屋に連行される人にしか見えなかったと思いますが、俺はそのシルバーのバンで広島を目指すことになっていたのです。何故新幹線や飛行機に乗らないのか!?そこにバンがあるからさ。あのシルバーのバンは世界一自由な乗り物なんだ。今までの全国同時握手会も沖縄以外はあのバンで向かいました。毎回毎回異常に過酷な事になるこの移動方法が俺の全国同時握手会を彩ったと言っても過言ではありません。過酷過ぎる移動によって脳がマヒしてなんだかよくわからないままサイケデリックな景色を俺に見せてくれるのです。「このバンに乗るのも最後か」そう思うと最悪に近かった体調も不思議とマシになりました。

 

ヤングタウン土曜日をBGMにシルバーのバンは快調に飛ばし、翌朝には広島に入っていました。もちろん一睡もしていません。酒も少ししか飲んでいません。脳内麻薬とシルバーのバン効果のみで俺はギリギリの体調をキープしていました。ちなみにドライバーは広島に到着するまでに俺が確認しただけでも2回は気を失いかけていました。握手会ってのは命懸けなんだ、と改めて思いましたね。広島駅前のパルコに着くと既にCD購入の為の列が出来ておりました。まだ早朝なのに。ここまで来てCD買えなくて握手出来ないのもアレなので仕方なく列に並びました。飲まず食わずで2時間ほど並び、なんとかギリギリでCDが買えたので、一服しにビルの外に出ました。

 

ビルの外に出る途中、エレベーターの前でサンボマスターの山口さんを見かけました。後から知ったのですがその日は同じビルに入っているライブハウスでサンボマスターのライブが行われていたようです。寝不足と体調不良と長時間の並びから開放された開放感で俺は思わず「山口さんですよね!?」と声をかけてしまいました。山口さんはゆっくりこちらに近付いてきて、いつもの調子で「お兄ちゃん、ちょっと声が大きくないかい?」と優しく諭してくれました。俺は自分が周りと山口さんに全く配慮出来ていなかった事に気付き、お詫びして応援してます、と伝えました。「ありがとね」そう言って山口さんは去っていきました。カッコ良かったです。粋でした。

 

山口さんを見て一服して会場に戻ると既に片付けが始まっていました。握手会は終わっていたのです。工藤遥さんの姿は一瞥もできませんでした。ものの15分ほどだったと思うのですが、まさかそんな時間で600人の握手が終わってしまうとは思っておらず俺は鳩が豆鉄砲を食ったような顔でその場に立ち尽くしました。後から聞いた話だと、俺たちが握手券を購入した時点で既に握手会が始まっていたようで、買ったらすぐに握手列に並ばないといけなかったようでした。そんなこととはつゆ知らず、俺はサンボマスターに会って一服していたのです。あまりのショックで自分がショックを受けた事すらよく分からず、ただただその場でヘラヘラしていました。

 

その後に行われる神戸大阪の握手券も即売り切れになりそうだ、という情報が入ってきた時はさすがに「はー、それはマズイなー」と感じましたが、しかし、なんかもうそれはそれで面白いかもしれない、と思っていました。どうせもう握手しないだろうし、とコンビニでビールを買って飲みました。終わった事は仕方ない。寝不足と体調不良にアルコール、快晴の広島市内、俺はどこか上の空でタバコを吸いました。たまたま居たコンビニ前のパルコの搬入口から工藤遥さんがマネージャーさんと共に出て来てどこかへ行ったような気がするのですが、アレは神様が俺に見せた幻だったんだと思います。

 

「もういいよぉ~広島でメシでも食おうよぉ~」

などと上の空でつぶやく俺は周りの人の肩を借りて、シルバーのバンに乗り込みました。バンは一路大阪へ向かいました。俺の上の空などには目もくれず、シルバーのバンはただ目的地だけに向かうのです。

 

シルバーのバンは渋滞の名所、西宮JCTでガッツリ渋滞にハマりましたが、大阪の握手券は俺と一緒に広島で握手が出来なかった直後にダッシュで新幹線に飛び乗って大阪に向かったど根性男の活躍によりなんとか一枚買うことに成功していました。俺がボーっとしている間に。スゴイ。あべのHoopに到着し、たこ焼きを食いながらイベントを見ました。端っこや後ろの方にいるお客さんに工藤さんが手を振りまくっていたのを覚えていますが、たこ焼きが熱すぎてそれどころでは無かったのであまり細かい事は覚えていません。広島に並びはじめてから既に10時間、新宿を出てからで言うと20時間ほどの時間が経過していました。夕闇に染まる西成で、俺はその日はじめて工藤遥さんを見て握手が出来る事になりました。

 

疲れと体調不良と夕闇で俺は自分が何をしているのかイマイチよく分からない状態で握手列に並んでいました。まだ広島で受けたショック状態から回復していなかったのかもしれません。確か牧野真莉愛さんとか飯窪春菜さんとか森戸知沙希さんとかが居たと思うのですが、何を話したのかあんまり覚えていません。握手の最後が工藤遥さんでした。工藤遥さんは疲れからなのか照らしていたライトが暑かったのか、とにかく汗をかいていました。そこそこの大汗をかいてキラキラ光っておられました。

 

「あのー、広島行ったんですけど、ちょっとアレで握手できなくて」

ぬるっと工藤遥さんとの握手になってしまったので俺は何も考えずにそう言いました。工藤遥さんは身を乗り出して気の毒そうな顔をしながらうんうんと物凄く聞いてくれる態勢をとって下さいました。俺はそれに対して、俺なんかのクソみたいなエピソードを聞こうとして下さる事への申し訳無さと、あと単純に距離が近付く事への緊張感ががこみ上げてしまい

「まあ、あの、それはそれとして汗がスゴイですね」

と言ってしまいました。なんという内容の無さ!そこはかとなく漂うセクハラ感!地上最弱の握手弱者!クソつまんない会話王!嫌いだ!あなたといる時の僕が!たまらなく情けなくて!みんなの!前じゃホントはもっと!ハツラツとしてるはずなのに!

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工藤さんは前に乗り出したまま、一瞬「え?」みたいな顔をして

「そうなの~!」

と言いながら髪を手でフワっとしていました。カッコ良かったです。粋でした。サンボマスターでした。サンボマスターは君に語りかける。

 

4年間通い続けた最後の全国同時握手会、一箇所目は握手しないままイベント終了、無理矢理買った最後の最後逃げ出す、というあんまりにもあんまりな内容。 いくらなんでもあまりに内容が無さ過ぎて自分でも笑ってしまいました。まあでもなんか、これはこれで良かったかな、とそう思ってしまいました。今まで一度も「これで良い」などと思った事が無かった握手会ですが、今回はこれで良かったんだと思います。もちろん、他に言うべきこととか言わなきゃなんないこととか言いたかったこととか無限にありますけど、でも結局俺はどれも言えなかったと思うのです。それならば、これはこれで良かったんじゃないんだろうか。あべのHoopのピカピカした景色を見ながらぼーっとそう思いました。

 

そう思いながら、ふと気が付くと俺の体調は全快していました。寝不足も疲れも数日前から感じていた風邪の初期症状もなくなっていたのです。俺はスーパーハイテンションで西成の飲み屋に入りビールを飲み唐揚げとホルモン焼きを食べました。ビールが異常に安かったのでたくさん飲みました。体調はドンドン回復していきました。馬鹿笑いしながら下らない話をしてビールを飲み続けました。

 

たっぷり2時間近く飲み、シルバーのバンは一路東京へ。途中同乗者を降ろしたりしながら翌日池袋に到着したのは午前5時でした。もちろんまともに寝ていません。1時間ほど気を失った瞬間はありましたがほぼ寝ていませんでした。二日間まともに寝ていないのに体調はまだまだ大丈夫でした。自分でもだんだん怖くなって来ていたのですが、しかし体調が悪くなくて困る事もないので考えないようにしました。思考する事をやめて立ち食いそば屋でカレーセットを食い、サウナにチェックインしました。

 

大宮のご当地アイドル、大宮アイドールの稲刈りオフ、という謎のイベントに行くことになっていた俺は池袋のサウナで風呂に入り沢山のおっさんのイビキが鳴り響く仮眠室で1時間ほど気を失ってからまた池袋から車に乗りました。昼下がりまでイベントを堪能して夕方前、帰るにはまだ早い時間でした。気が付くと俺は友人数人と日暮里の公園で酒を飲んでいました。

 

少し飲んで帰るつもりだったのですが楽しくなってしまい2時間ほど飲み、更に北千住の行きつけの飲み屋まで行ってしまいました。時刻はまだ19時、まだまだ行けるな、と思いながらジョッキ二杯ほど飲んだ所で不意にくしゃみが出ました。受け止めた手のひらには鼻水では無く膿のようなものとうっすら血液が出ていました。多分脳みそが鼻の穴から出て来たんだと思います。身体が限界を告げてきたのです、分かりやすく。工藤遥との握手で脳と身体をマヒさせられるのは約24時間程度、その際身体の方が先に限界を迎える、という人体実験結果になりました。ちなみにその後1週間は尋常じゃなく体調が悪くなりました。

 

最後の全国同時握手会が終わってしまいました。もう残りの俺が行く予定のイベントは写真集イベント、バースデー、岡山高松、パシフィコ、個別挟んでバスツアー、また個別、その後も、…思ったよりある。また鼻の穴から膿んだ脳みそ出ちゃう気がします、このままだと。まあ良いか。俺の脳みそなんて鼻から全部出ればいいや。

 

膿と言えば、工藤遥の卒業が近付いて来て、俺の生活の膿がグニュグニュと出てきている感じがしています。工藤遥に恋をしている事で見えなかった、見ないようにしていた生活や人生や俺自身の人間性に関する種々の問題がハッキリ見えてくるようになったのです。工藤遥の事はずっと好きだと思いますけど、しかし、ここ数年のような「工藤遥を追う事が中心の生活」が出来なくなるのは確かなのです。じゃあ来年からどうしようかな、と強制的に考えさせられています。昔から先の事を考えるのが大の苦手なのですが、それでもたまに考えるくらいには工藤遥の卒業は大きな問題なのです。とはいえ、別に悪い意味ではなく、なんかどんどんスッキリしていっている感じがします。今のところ「どっか遠くに旅にでも出たいなあ」と「女優工藤遥の活動も見に行きたいなあ」くらいの事しか考えておりませんし。なるようにしかなりませんし。座して死を待ち、それからの事は死んでから考える。ガチ恋ゾンビは遂に脳みそまで溶けてしまいました。それでもまだ死ねない。工藤遥に俺の魂を撃ち抜いてもらうまではこの世を彷徨い続けるのです。果たして、人の魂はどこにあるのでしょうか。そんなもの本当に存在しているのでしょうか。

 

あと、工藤遥の卒業は12/11なので、その後の日付のどっかで忘年会やりたいなあ、と思っています。今年も忘れたい事が多すぎるし、この踊りを練習してるから余興で披露したいのです。

 


完全アウェイのロックフェス

 

とりあえずは週末の台風に突っ込み山陽遠征をサヴァイブしたいな、と思っております。生き残りたいがけっぷちでいい君を愛してる。